Leprahaun

 妖精学の権威と言ってもいい井村 君江先生が著したケルト妖精学に面白い話が載っている。先生がアイルランドのタクシーの運転手にバンシーとレプラホーンについての話を振ったときのことだ。バンシーの話には食いつかなかった運転手だが、レプラホーンの話にはこう答えたという。

「お金持ちになるためにレプラホーンは捕まえたいがなかなか見つからない。最近は妖精を見るために必要な四つ葉のクローバーも見つからないし......」
 
 人の死を予言するバンシーも靴職人のレプラホーンもアイルランドを代表する妖精だ。特にレプラホーンはアイルランドで福の神に相当する存在だという。というのも彼らの趣味は財を蓄えることであり、金貨のつまった99の壺をどこかに隠しているからだ。
 レプラホーンは妖精の靴職人だ。彼らは片方の靴しか常に作らないがその腕はたしかで、他に靴を作る者がいないため、妖精たちは彼らの靴をよく愛用するのだという。そのため彼らはかなりの財産を蓄えることができるのだろう。
 アイルランドにはそんなレプラホーンを捕まえて財産を盗ろうとした人々の話が伝わっているが、どれも徒労に終わっている。
 レプラホーンの財産を手に入れることは不可能に近い。というのも彼らは眼を放せばとたんにいなくなってしまうからだ。運よく財産の在処を聞きだしたとしても、正確な場所を特定することは難しい。
 ある若者がレプラホーンを捕まえ財産の居場所を聞き出したことがあった。レプラホーンは野菊が一面に生えた野原に自身の財産があることを青年に打ち分ける。青年はレプラホーンに教えられた場所を見失わないように靴下の留め金を野菊の1つにつけておき、スコップを取りにその場を離れた。青年が野原に戻ってくると、野原に咲いている野菊という野菊に靴下の留め金がついていたそうだ。やけになって青年は周囲を掘り返したが、結局のところレプラホーンの財産は見つからなかったという。
 レプラホーンは酒好きな妖精クルーラホーンと同一視されることもある。クルーラホーンは古い屋敷のワインセラーなどに棲みついたり侵入したりして、その家の酒を飲んでいく妖精だ。彼はレプラホーンの酔っ払った姿だという。
 トマス・C・クローカーが蒐集した話の中には、ヒースから作ったビールを飲みながら靴をつくるクルーラホーンの話がある。ヒースからビールを醸造する製法はデンマーク人から伝えられ、彼らの一族はその製法を代々伝えているという。

 

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