
断 章
C.G.ユングの分析心理学をもとにして虚ろ世界の世界観は作られている。
頂上の地球は現実世界(意識)を象徴、中央の中ツ空(竜たちのいる世界)と虚ろ世界の底にある水底、(ヴィーヴォたちの世界)は集合的無意識を表している。水底は文字通り、心の底という意味。水は太古から無意識を象徴する。
この世界は少し先の未来で生きる少女が見ている夢であり、その少女が眠り続けていることから水底は夜闇に閉ざされている(常に意識されない心的状態を暗示)。少女はとある事情から脳に損傷を負ってしまい(たぶん前頭前野あたりが駄目になってる)、その少女の「心」を再現するプロジェクトが進行中。少女の脳は機械に繋がれて、AI達(検索エンジン)が必死になって彼女の心を構成する「記憶」や「情報」を海馬やネットの海から集めている。この記憶を集めるAIが虚ろ竜たちの正体だと思われる。少女の記憶や情報の具現化が灯花。そのため、灯花には地球に還りたいという帰巣本能が備そなわっている。
地球から虚ろに落ちてきて割れた卵は少女の自我崩壊を象徴しており、世界の頂きにある地球は少女が存在している現実世界そのもの。少女が帰るべき場所としての象徴としてそこにある。
ヴィーヴォはもともと少女の無意識にいたアニムス(理想の男性像)だと思われる。
水底で話されている言語は、エスペラント語を基もとにした未知なる言語。
虚ろ世界を夢見ている少女が生きている地球では、過去の大戦によって壊滅的な環境破壊に見舞われており、生き残った人々は共通の言語としてエスペラント語を使用している。
少女が生きている現実世界は、オペレーションシステムMERROWと同一の世界であると考察できる。